【本】絲的ココロエ 「気の持ちよう」では治せない

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こんにちは。ナースりんご@nsringogo55です。

本日は、本のご紹介です。

絲的ココロエ 「気の持ちよう」では治せない/絲山秋子

作家・絲山秋子さんは双極性障害を20年前に発症、現在は内服なしで通院のみで経過されているようです。寛解状態(完治ではないが、症状が落ち着いた状態を寛解と言います。)

双極性障害は2大精神病の一つです(もう一つは統合失調症)。

双極性障害(昔は躁うつ病と言いました)は、Ⅰ型とⅡ型あって、絲山さんは、症状の起伏の激しいⅠ型という事です。Ⅰ型は、双極の起伏が大きく、わかりやすい躁状態、鬱状態を呈します。

ちなみにⅡ型は、起伏があまり激しくなく、鬱状態も長く多いために、はじめは鬱病と診断される人も多くいます。鬱病の治療でなかなか治らない、実は双極性症状Ⅱ型だったという人は、多く、気付くまでにも平均7年と言われています。

話を戻して、この本は、作者の絲山秋子さんが、双極性障害という病気を抱えながら(+ASD(自閉スペクトラム症)の傾向も強いそうです)、病気との向き合った経過や病気の捉え方、分析や考察も踏まえて語られている自伝的エッセイのような本です。

当事者が書いた本というのは、病気の方にとって、心強く、胸にすんなり落ちる事が多いですよね。

医療者の私も大変参考になりました。

題名にもあるように、気の持ちようでは治せないし、自己判断、謝った自己治療は危険であり、信頼できる医師やスタッフと一緒に治していく、闘病していくのが病気の正しい向き合い方だと思います。

絲山さんのキャラクターもあるとは思いますが、淡々、粛々と描かれていて、ご自身を客観視して書かれている事、書いている時期も落ち着いて居る時期に書くとおっしゃっていたので、その効果もあると思いますが、実に冷静に、症状に翻弄されずにご自身の経過を振り返っているのが印象的でした。

私も、症状が良くなった患者さんと感じるのは、ご自身のことを振り返って、少し自虐的でもありますが、笑いながらネガティブな部分もお話しできた時に、「ご自身のことを少し離れて観察できるようになったんだなぁ」と思いますし、その状態こそが、症状から離れた証拠でもあると思います。

絲山さんの文章の中にも何度か出てきますが、状態が悪い時には、認知のずれや歪みが出てきたり、解釈が周りとずれたりします。その渦中にいる時には、なかなか気付けないでしょうし、度を超すと、人間関係で亀裂が生じたり、破たんすることもあります。

なかなか難しい病気です。

だからこそ、一人では治せませんし、協力者、理解者が必要ですね。

絲山さんも、自殺未遂したことがあるようですが、双極性障害の方の自殺も決して少なくはありません。

感情がコントロールできない苦しさ、その感情に飲み込まれている間に、起こしてしまう自殺企図。

早めにいつもと違う自分に何らかの対処が必要かと思います。

絲山さんは作家さんなので、ただの闘病日記というよりは、自立と依存や心の在り方、深層心理的なお話しもされていて、興味深かったです。

病気のない方も、心の読み物として楽しめるのではないでしょうか。

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