【精神疾患】日本の精神科長期入院に対して思うこと

メンタルヘルス

こんにちは。ナースりんご@nsringogo55です。

今日はとても個人的な意見になってしまうかもしれませんが、思うところがあって書いています。

精神病院に40年入院していた男性

精神病院に40年入院していた男性(69)が3300万円賠償を求め国を起訴という記事を見かけました。

この方は、以前にもNHKで60歳からの青春 精神科病院40年をへて特集されていたのを拝見したことがあったので、覚えていました。

テレビで見たご様子は穏やかな物腰の老年期の男性でした。

人生の大半を精神病院で過ごされた事、もしかしたら別の人生、青春があったと思いを馳せる事は、とてもよくわかりますし、強い後悔と悔しさがあるのだと思いました。

この方の詳しい病状や家族、社会背景などが詳しくわかるわけではないので、この方に対して、申し上げる事はできませんが、私なりに20年以上、日本の精神科領域の医療業界に携わってきた身として、少し感じる事もあったので、今日はその辺を書きたいと思います。

あくまでも私が見てきた20年あまりの精神科医療なので、この方が入院した40年以上前のものとは違っている部分もありますし、あまり参考にはならないかもしれません。

なんとなくもやもやとした切ない気持ちになったので書こうと思います。

精神科の長期入院の背景

まず感じたことはこの記事をみて、この方は40年という人生の大半を精神病院で過ごしたことに、後悔と悔しさを感じているだということ。現在は退院され、今後の人生のことを考えていきたいと模索しておられるであろうとも感じました。

そのこと自体は、自然なことですし、今後の人生を穏やかに謳歌していただきたいと切に思います。

この方に当てはまるかは別として、私が見てきた20年以上前の精神科では、たしかに10代で発症、死ぬまで退院できず、病院で亡くなる方もいました。家族が退院を拒み、何年も入院されている方もいました。家族からすると、家で暴れたり、殺されかけたりした記憶もあったりするので、退院させたくないというケースもあります。その方たちは、家族にも見放され、何十年も面会に来る家族・親族もおらず、社会でのこういう病気の方たちを受け入れるような施設やセーフティネットなどもほとんどない状態であったからだと思います。

結果的に、病院にしか居場所がなく、本人や医師が入院を希望・強要したわけでもなく、結果的に病院で暮らすという状態でしか、この方たちの生きる場所がなかったことではないかと思います。

世界と日本の精神医療

世界のデータと比較されこともよくありますが、国によって医療体制や制度も違っており、ここで比較されることに、どのような意図、意味があるのか私には少し疑問に感じてしまいました。

入院期間は短くても、社会にそのまま出されるのか、社会での過ごす場所はあるのか、受け止める体制はあるのか、住民の理解や精神疾患の方がその後生きていける保証はあるのかまでは疑問です。

たしかに、海外では精神疾患の方も、街の中で普通に暮らせる場所もあります。

日本でも、少しづつですが、グループホームや精神科訪問看護なども増えてきました。それでも、家族や社会的理解、精神疾患の方の急変に対応できる十分な体制や理解があるとは言えないでしょう。

長期入院は病院側にメリットか?

病院が、患者さんを入院させる理由として、この記事の書き方だと、受け取り方によっては、まるで病院側にメリットがあるかのような言い回しに聞こえますが、長期入院は病院にとってもメリットというものは特にないと思います。

長期入院は、保険点数も下がりますし、経済的メリットは考えにくいですし、そのために長期入院を強いるというのは聞いた事がありません。統合失調症の方だと、おそら障害者年金や生活保護を受けている方も多く、そのお金で、彼らが闘病し、生活費に充てて生活されていたのだと思います。仕事として勤務していたのは、社会的な訓練と精神の安定を目的として治療の一環でもあります。労働の基準によっては、賃金も出ていたのではないかと思います。

患者さんを支える体制・スタッフ

おそらく医師だけではなく、精神保健福祉士、ソーシャルワーカー、臨床心理士、看護師、作業療法士なども入り、チーム医療として、患者さんを支える医療を提供していたのではないかとは思います。

退院できなかったのは、この方が退院後に、サポートできる体制や人がいなかったこと、家族や保護する方がいなかったことも考えられます。

実際に、重篤な症状の患者さんの家族は、家で看ることはかなり困難ですし、当人、家族とも共倒れになるリスクもあります。

現実はとても厳しいものでもあります。

これからの精神科

理想を言えば、精神疾患の方の早い回復、安全で安心な社会的サポート、その人らしく生きていける世の中ですが、それには、それぞれの理解と歩み寄り、努力が不可欠です。

もし、身の回りに精神疾患の方がいなくても、みんなで考えていける世の中になって行かばいいなと思います。

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