【本】ケーキの切れない非行少年たち

movie,book

こんにちは。ナースりんご@nsringogo55です。

本日は本のご紹介。

ケーキの切れない非行少年たち/宮口浩治

著者は児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務した経験のある方(医学博士、臨床心理士)です。

読んで納得する部分も多く、参考になりそうだったのでまとめてみます。

少年院での面接等の経験で、「反省する以前の少年たち」が多い事、そもそも世界がゆがんで見えていて、理解や反省という概念以前の問題である人たちが多いという事を述べています。

その例えとして『ケーキの切れない非行少年たち』と実際にケーキを等分に分けることができないほどの認知力の低さを表しての題名をつけたようです。

具体的には

●簡単な足し算、引き算ができない

●漢字が読めない

●簡単な図形が写せない

●短い文章すら復唱できない

という少年が大勢いて、見る力、聞く力、想像する力がとても弱く、そのせいで勉強ができないだけでなく、周りの状況が読めず、対人関係で失敗したり、いじめにあったりしている過去がある子が多かったそうです。

少年たちが口をそろえて言うのは、①勉強が苦手②人と話す事が苦手

非行少年に共通する特徴/5つ+1

認知機能の弱さ…見たり聞いたりする能力が弱い

感情統制の弱さ…感情をコントロールするのが苦手

融通の利かなさ…思いつきで行動する。予想外のことに弱い。

不適応な自己評価…自分の問題点がわからない。自信がありすぎる、なさすぎる。

対人スキルの乏しさ…人とのコミュニケーションが苦手

+身体的不器用さ…力加減ができない、身体の使い方が不器用(これは当てはまらない事もあり)

見過ごされやすい境界知能の子供達

平均的知能指数は100前後、知的障害はIQ70未満ですが、境界域(IQ70~84)の子供たちも含めると、14%程度いるとのことでした。この境界域の子たちが見過ごされることが多くなることを指摘しています。

IQ70以下だと、クラスにもついていけないのが著明なので、特別支援学級や療育手帳を受けたり、障害としての支援をうけることもできますが、境界域の子供は、普通学級の中で、中途半端になってしまい、勉強は不得意だけど、障害とまで言えないことで見過ごされやすいということでしょう。

具体的には35~40人の普通学級で下から5人くらいの子たちが、この境界域に当たると言います。

クラスでは勉強が苦手で、細かいニュアンスを理解できない事でいじめやクラスで浮いた存在になる事も多く、その結果、不登校になったり、非行に向かうという事もあり得ます。

ほめる教育だけでは解決しない

もちろん、できた事、いいところを褒めて、その子の自尊心、やる気を伸ばす事は大切ですが、不得意、できない事から目をそらし、放置することは、問題の先送りでしかありません。

著者は、トレーニングしていく事で、非行少年たちも変われる可能性がある事を述べています。

具体的なトレーニング方法も紹介されており、活用できそうだと感じました。

まとめ・感想

境界知能の方が、14%もいる事に、少しショックを受けたとともに、そういう境界知能の方の対応が課題になっている事も感じました。

対人関係が苦手で女性をデートに誘えないからといって、性欲を抑えきれずに幼女を強姦するという事が許されるわけはありません。

欲のために人を殺しても「自分はやさしい」という少年の話も出てきました。

何とも痛ましく、嘆かわしいことです。

反省を促しても、反省という概念の前に、自分を理解できていない。ここに問題があると思います。

非行や犯罪に手を染める前に、なんらかの支援やケアがなされることによって、非行、犯罪が減ることは、安全な世の中につながるほかにも、経済的効果もあります。

犯罪者1人300万円/年間かかるそうです。でも、この犯罪者がなくなり、働いて税金を年間100万円納めれば、単純計算で400万円の経済効果です。

非行・犯罪を起こす背景、人格構造、心理、その支援のヒントまで、わかりやすく書かれている良書だと思います。

タイトルとURLをコピーしました